ある男が部屋でくつろいでいた。
その男は腹が空いていた。
そこで男は、近くのコンビニに立ち寄る。
実は、その男は金を大して持っていなかった。
家に白飯はある。
しかし、白飯だけでは腹は膨れても心がふくれぬ。
男は、迷っていた。
男は、悩み抜いていた。
コンビニには、ふりかけが売っていた。
男はそれに特に興味を示さなかった。
コンビニには、お茶漬けが売っていた。
男はしばらく考え、やがて離れた。
ふりかけやお茶漬けで心が満たせるのか不安だった。
やはり肉だ。
腹を満たすには、生命力あふれる肉が必要だ。
男は、そう結論した。
しかし、その男が持つ金で、コンビニに置いてある牛肉、豚肉は買えなかった。
男はひどく悲しんだ。
仕方なく、レトルトカレーに手を出したその時。
男は光輝く肉を見つけた。
それはレジの隣の透明なケースに、大事そうに収まっていた。
その光は、油と、白すぎる蛍光灯が重なった光だ。
男は嬉々としてこう叫んだ。
「ファミチキください」
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